≪働く女性も意識変えて!育児休暇で評価アップ?「生きるため重要」男子7割 ??≫ [社説]
――安倍政権は「育児休業3年、上場企業は女性の役員登用を」と女性の活躍を成長戦略に掲げている。
「ちょっと待って、どこに目を向けているの、と言いたい。育休は短めにして融通の利く働き方で復帰する方が社員にとっても、企業にとってもロスが少ない」
「大半の日本企業には社員を幹部に育成する『キャリア・ロードマップ』があるが、みな男性向けだ。“男性仕様”に合わせて頑張れるタイプの女性しか幹部候補者として育てられない。ロードマップをそのままにして女性管理職の数値目標を掲げても無理がある」
――ならば最初から、出産後に職場復帰した女性を育てるロードマップも作ればいいと。
「20~30歳代を私は『キャリアの仕込み時』と呼んでいる。責任のある仕事を任され、失敗しながら成長する。企業にとっては、その大切な時期に『子どもができた』と休まれ、『子どもが発熱した』と早退されては、責任ある仕事を任せられず、戦力外扱いしかねない。せっかく復帰した優秀な者までが『もう期待されていない』と失望し、辞めてしまう」
――女性が休んだり復帰したりした職場は「みなで協力してうまくやれ」となりがちだ。
「そういうあいまいに穴埋めするやり方が一番悪い例だ。『この忙しいときになぜ私が』と現場の士気が落ちるし、職場復帰した女性も肩身が狭くなる」
「例えば短時間勤務で復帰した女性には、責任ある仕事を任せる機会を少しずつ増やす。ただし急な早退・欠席に備え、いつが期限のどんな業務を抱えているかを必ず職場で共有しておく。業務を代行した社員には働きに報いる制度が必要。報酬を与えてもいいし、人事で評価してもいい」
――働く女性側も変わらなければならない。
「日本女性エグゼクティブ協会を通じて管理職女性たちと情報交換するうち、働く女性が成功するための『8カ条』ができた。中でも重要なのは『目の前の仕事にベストを尽くす』『職場の協調関係を築け』5年先、10年先を見越していま何をすべきか、『人生の布石を打つ』の3つだ」
――制度に頼って権利を主張するだけでは長続きしない。
「具体的に言うと、出産後も仕事を続けたいなら、職場の上司や同僚にその姿勢を示した方がいい。人によってやり方はいろいろあるだろうが、例えば1日6時間勤務で復帰した場合、週5日のうち1日は家族やベビーシッターの助けを借りてフルタイムで働いてみる。夕方の追い込み時で皆が忙しい時間帯を一緒に過ごせば、理解も得やすい」
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家庭科男女必修20年 「男も家事」当たり前に
変わる意識 保育・介護も体験
中学・高校で家庭科が男女必修になり約20年が過ぎた。「男子厨房に入るべからず」の時代は遠くに消え去り、調理や裁縫など家事だけでなく、保育や介護なども家庭科で体験するようになった。より実践的な授業内容にすることで、家事分担などができる男子を育て、少子化対策などに役立てる狙いだ。生徒の意識も変わってきた。
保育所を訪問し、子どもと遊ぶ富山県立砺波工業高校の男子生徒(富山県砺波市)
ミシンに熱中
「返し縫いって難しいな」「あれ、寸法が合っていない。なんでだろう」。男子校の埼玉県立浦和高校では高校3年生で家庭科は必修教科。家庭科専用の別館に集まった男子生徒たちは、2学期の調理実習で使うためのエプロン作りに励んでいた。
慣れた手つきで布にアイロンをかけ、手縫いやミシン縫いに熱中する。「男子校で家庭科の授業を受けるとは思っていなかった」と話す生徒もいたが、増沢龍一君と小林龍太君は「男女共同参画社会にするためにも、日常生活に関わる家庭科は性別に関係なく学んだほうがいい」ときっぱり。野川大気君も「生きていくのに必要なスキルを身につけられる」と笑顔で話す。
日本では1993年に中学、94年に高校で家庭科が男女必修になった。中高生はそれまで、男子が技術、女子が家庭科を別々に学んでいたことがあった。家庭科では、子育てや介護体験などに加え、指導要領の改訂で、日本の伝統文化を学ぶ項目も含まれた。家庭科を履修することでより深く日本で生きることについて学ぶ内容になっている。
浦和高校の授業では、被服製作や調理実習のほか、赤ちゃんの人形を使った保育体験や、実際に車いすに乗ったり、目にアイマスクをつけて2人1組で校外を歩くといった全盲体験も取り入れるなど介助についても学んでいる。家庭科を担当する山盛敦子教諭は「男子校なので、座学だけでなくなるべく体を動かして学ばせるよう工夫している」と話す。
男子生徒が多い富山県立砺波工業高校でも、乳幼児や高齢者理解のための体験学習を積極的に取り入れている。同校の特色は、ものづくりを家庭科に取り入れていること。近くの老人ホームを訪問する際は、車いすを整備したり、高齢者がリハビリにも使える機械などを作製したりして贈っている。
また、授業で訪問する保育所に通う子どもを高校の体育祭に招待。生徒が作った遊具を使い、一緒に競技に参加して触れ合う。永井敏美教諭は「こうした体験を通じて、生徒は自分自身を見つめ直し、周りの人についても考えるきっかけになっている」と説明する。
浴衣を手縫い
幼児と触れ合う学習は、中学校でも進められている。神戸市では比較的早い段階から、保育所の訪問学習を授業に取り入れてきた。市立本多聞中学校では、毎年1回、3年生のクラスが近くの保育所を訪問している。三宅えみこ教諭は「思春期で親とうまく意思疎通できない生徒もいる。幼児と触れ合うことで、親への感謝の気持ちに気がつく生徒も多い」と話す。
日本の伝統文化を学ばせる取り組みも出てきている。京都府立桃山高校では生徒が浴衣を手縫いで作る授業を取り入れている。家庭科選択科目の被服製作の授業は女子だけでなく、男子も毎年数人履修しているそうだ。生徒は浴衣製作を通じて、和服は古くなっても糸をほどけば座布団などに再利用できることを学ぶ。「自分で縫った浴衣を祇園祭などに着ていく時の生徒はとてもうれしそう」と三村朋子教諭。「和の文化が残る京都で育っているのだから、日本文化を教えたい」と強調する。
横浜市立本郷中学校でも、技術・家庭で和服文化を学ぶ場を設けている。地元の呉服店が学校に出向き、着付の講師が2年生の生徒に浴衣の着付けや畳み方などを教える。「最近の子どもたちは和服に触れ合う機会が少なくなっている。学校で日本の伝統文化を教える意義は大きい」と田口幸子教諭は話す。浴衣を初めて着た男子生徒からは「洋服より着心地が良かった」「着付けは難しいと思っていたが、意外と簡単だった」といった声が上がったという。
現代の子どもたちにとって家庭科を履修するのは当たり前。ただ、家庭科の授業数は減少傾向にあり、担当教師も減っているのが現状だ。佐賀大学文化教育学部の中西雪夫教授は「家庭科は人間関係や家族関係など、生活に必要なことを学ぶ教科。その重要性を理解し、授業時間を増やしてほしい」と訴える。今後は小中高の学習内容を連携させるなど、限られた時間をうまく使うことが課題となりそうだ。
手縫いやミシンを使ってエプロンを作る浦和高校の男子生徒(さいたま市)
「生きるため重要」男子7割
国立教育政策研究所が昨年10月に発表した「理系文系進路選択に関わる意識調査」で、高校3年生の男子生徒の7割が「家庭科は将来生きていく上で重要」と答えた。家庭科が必修となって浸透したほか、社会の中での男女の役割が固定的に捉えられなくなった結果だろう。
実際に、調理や裁縫、木工などの腕前を競い合う「全国中学生創造ものづくり教育フェア」や「全国高等学校家庭クラブ研究発表大会」などでは、調理や裁縫の部門で男子生徒が上位に入ることも増えている。また、木工などの技術分野で女子生徒が表彰されることも多いという。
全国家庭科教育協会の河野公子会長は「感想文を読むと、家庭科に対して好意的な印象を持つ男子生徒が多い。意識が変わってきていることがわかる」と話す。「性別に関係なく、身近にある様々な問題について生徒が興味関心を持つきっかけになれば」と期待する。
ですから、この時勢のタイミングで、安部首相が発信したことは非常に評価出来ます。
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